2009年06月21日
09.06.20 Jリーグ第14節前日 フィンケ監督
09.06.20 Jリーグ第14節前日 フィンケ監督
フォルカー・フィンケ監督 2009シーズンJリーグ第14節横浜F・マリノス戦 前日のコメント
「実際に数多くの選手が離脱している中で私たちはトレーニングを毎日、進めてきました。長い間、11対11のゲームをすることができませんでしたし、今日、代表の選手たちが戻ってきてやっと10対10プラスフリーマン1を置いてのゲームができたわけです。たくさんのケガ人、そしてそれ以外のさまざまな理由によって、チームトレーニングに参加できなかった、今までの公式戦に出場できなかった選手がたくさんいたのは事実です。とても素晴らしい状況と言い切ることはできませんが、私としてはこうした状況に対して、大きく文句や苦情を言ったりすることはまったくありません。
今、試合に出ることができる選手を使って、できる限りいい結果を残したいと思います。しかし、小さなグループの方が場合によっては質の高いトレーニングをすることができる、そしてさらに高い集中力を持ってトレーニングを進めることができることもあります。一部の選手にとってみれば、あまり多くの選手がいなかったことはよかったことだと思います。
多分、この後、皆さんから質問を受けると思いますので、前もって答えをお伝えしたいと思います。すべての代表選手を起用するつもりです。闘莉王、阿部、都築を使いたいと思っています」
(代表選手3人のコンディションについては?)
「まず試合を見てみないと何ともいえないところがあります。ですから明日はこの3人をスターティングメンバーの選手として起用したいと思います。もちろん彼らは実力のある選手ですし、実力があるからこそ代表にも選ばれています。ですから次のゲームで、彼らが自らの実力を新しく証明しないといけない状況にあるわけでは一切、ありません。長旅、長い間代表に行っていたということもあって、さまざまな負担があったことは事実ですが、だからといってこの3人を前もってスタメンから外すということはしたくないと思っています。
ただし、試合中にこちらがリアクションを起こすことは十分にできると思います。試合を見ながら彼らが通常のベストのコンディションでないと私が見ることができれば、試合中にその選手を交代すればいいからです」
(サテライトリーグのモンテディオ山形戦で途中交代した平川忠亮については?)
「残念ながらケガをしています。ケガをしたからこそ、自分の体の反応に気付いて交代のシグナルを出したわけです。ケガをしていることはMRIを通しても証明されましたし、残念ながらまた数週間、戻ってくるまでには時間がかかってしまうものだと思っています。
これは私がよく選手たちと話していることですが、とても大切なポイントというものがあると思います。それは、一人のプロフェッショナルとしては自分の体が発するシグナルを無視してはいけないということです。いろいろな状況において、自然、あるいは人間の体というものはさまざまな反応を示します。そのような体から発信されるシグナルは絶対に無視してはいけないものです。
なぜかというと、ケガをしているのに自分はタフな人間だと言って、ケガを無視してトレーニングをしたり、試合に出場したりすることは自分の体をさらに痛めつけることになります。一人のプロとして、そのようなサインを理解し、正しい行動をとらなければいけないと思います。自然、そして人間の体をリスペクトすることを学ばねばいけないと思います。何らかの理由があって、自然や人間の体というのはシグナルを発信しているわけです。ですからこのようなシグナルを感じたときには、正しい行動をとらないといけません。これは選手だけではなく、すべての人間に言えることですが、どこかが炎症を起こしたときには大抵、人の体というものはリアクションを起こします。
例えば、熱が出たりとか、具合が悪くなったりなどです。そうして熱が出た状態のときに無理をして外に出てさまざまなことをするのがよくないということは、一般の、選手ではない方でも理解はできることだと思います。筋肉のケガというのも同じだと思います。体にとって、特別な負荷がかかっている、かけてはいけないような負荷がかかって、それによって筋肉がリアクションを起こしてしまう。そのときには箇所を治療しなければいけないわけですし、ケガを隠してまで試合に出るということは最悪のことだと思います。
実際に私は日本に来て学んだのは、日本という国ではケガを我慢する、ケガをしながらも試合に出て活躍をするということがとても褒めたたえられる行動だと、理解されているということです。しかし私は、これはプロフェッショナルな行動だとはまったく思いません。体のシグナルを無視して試合に出るということは、他のチームメートに迷惑をかけることになるので、一切やるべきではありません。
あくまで一つの例ですが、ある選手がケガをしている、そして実際に70パーセントのプレーしかできない、このような選手がピッチに立つということは、ケガをしておらず100パーセントの状態でベンチに座っている選手に対してとても失礼なことだと思います。これは非常に長い戦いだと思いますし、私もたくさん、選手たちとこのことについて話をしなければいけません。この国にきて気が付いたのは、多くの選手たちがケガをしてもプレーをすることはできる、そして実際にケガを押してまでプレーをすれば褒められると思っているということです。各報道でもそうだと思います。ケガを押してプレーをしたことがすごく褒めたたえられ、場合によっては英雄扱いされるところがあります。しかしこれは私にとって一切理解できないことですし、プロとして本当はあってはならないことです。ケガを押して試合に出た選手がなぜ、ポジティブな形で書かれるのかも、私はよく理解できません」
(平川は無理をして試合に出たのか?)
「彼に対して無理をさせた、あるいはむちゃな負荷をかけたことは一切ないと思います。私が覚えている限りでは平川は少なくとも2週間、場合によっては約3週間、チームと一緒にトレーニングをしていたと思いますし、メディカルの方からも試合に出ることができるというゴーサインが出ました。そして、試合に出る2日前に私は直接、ヒラと話をして、試合に出られる状況にあるかなど、いろんなことを話しました。チームのトレーニング後にはしっかりとケアと回復をするようにとも伝えました。試合には60分出てみようかという話もしました。すべての関係者がOKを出した状態で彼が試合に出て、残念ながら途中で自ら交代のサインを出してきたわけですが、今回のことに関しては私たちの方から彼に無理をさせたということは一切ないと思います。なぜかというと、すべてのことを選手と一緒になって話し合って物事を決めてきたわけですから。
今、私が取った行動、そしてこのことについて皆さんに話したことは、本当はプロフェッショナルはやってはいけないことです。ただし今はわざとそれを犯して質問に対してお答えしました。なぜかというと多分、直接、平川とお話ししたと思われるからです。
本来ならばこのようなことについて公の場で話すことは非常に危険なことだと思いますし、今お話ししたようなことを間違った形で大きな記事として扱わないことを願っています。あくまで私が今の状況を説明したいからお伝えしただけであって、本当ならばプロとして詳細について語るのはよくないことだと思っています。
なぜこのことがプロフェッショナルではないかというと、これは非常に危険なことだと思うからです。世界中を見渡してもドクターというのは、患者の状況がどうであるかは、話してはいけないことになっていると思います。患者との2人の間で話し合ったことは守らなければいけない義務があります。しかしプロフェッショナルなサッカーのクラブの場合は、患者の状況を監督、場合によってはマネジメントの人間に伝えなければいけない義務があります。
しかし、一般の人々、他の選手、メディアに対してドクターの方から詳しい説明をすることはまったくできません。それはドクターの仕事の一環として当たり前のことです。ですが、選手が実際に聞いていたことと違うことをメディアに話してしまうと、ドクターとしては周りの人間に対して、『本当の事実はこうなんだ』と説明する機会がないわけです。一人の選手の状況、回復具合についてあまり細かく話しすぎてしまうと、後々になって、問題の種になるかもしれませんので、本当ならここで、これほどまでに細かくお話をするのはよくないことだと思いますし、場合によっては非常に危険な状況を生み出してしまうかもしれません。
メディアの皆さんにも理解していただきたいのですが、選手が本当の状況ではなく、自分が思い込んでいる事実というのを皆さんにお伝えすることがあるということです。このことは絶対に忘れてはいけません。今回のことではありませんが、よくあるケースというのが、選手が非常に重いケガをしているのに自分では楽観視をしていて、自分はあと2~3週間で復帰できるとメディアの皆さんに話してしまう。しかしドクターの方からは監督に対して非常に厳しい状況で、場合によっては数ヵ月かかるかもしれないと話をしている。このような形で選手が思い込んでいる事実がメディアを通じて広がってしまう、しかしそのときにドクターは『本当のことはこうなんです』と外部に向かって情報を発信することができない立場にあります。このことはメディアの皆さんに理解していただきたいです。
選手のケガについて、選手に直接聞いて、もし彼らが思い込んでいる事実というのを皆さんにお話ししてしまった場合には、それがクラブの中では危険な状況を生み出す可能性があるということです。私としてはメディアの皆さんに『選手の言ったことは事実ではなかった。本当はこれだけ厳しかったんです』というお話をすることは、したくありません。ですから選手たちが自ら、自分のケガの状況を外部にどんどん発信してしまうのは非常に危険なことだと思いますし、場合によって、メディアの皆さんが先に選手のコメントをとっていた場合は、そのコメントを自分にぶつけてきて『選手はこう言っているがどう思うか』ということになる。そうなると場合によっては問題の種となります。ですから、『ケガ』について話をするのは非常に危険なことだと思います。全員が考えなければいけない繊細なテーマだと思います」
(横浜F・マリノスの印象は?)
「今シーズンのこれまでの13試合、そしてマリノスの発展状況や成長を考えると、Jリーグの中でも上位にいることができるチームだと私は思っています。もちろん私たちもこのチームをとてもリスペクトして試合に臨みたいと思います。こちらもしっかりとした準備をして、きちんとしたパフォーマンスを見せればいい結果を残すことができると思います。
しかし、マリノスは実力的にとても優れたチームだと思っていますし、今の順位表が彼らの本当の実力を物語っているものではないと思っています。そしてスタジアムで見ている人にとって、とてもありがたい天候にさえなれば、とても素晴らしい雰囲気も生まれて、魅力的なゲームも見られるのではないでしょうか」
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