2009年07月25日
09.07.24 Jリーグ第19節前日 フィンケ監督 フォルカー・フィンケ監督 2009シーズンJリーグ第19節名古屋グランパス戦 前日のコメント 「今までも何度もあったことですが、出場停止やケガに
09.07.24 Jリーグ第19節前日 フィンケ監督
フォルカー・フィンケ監督 2009シーズンJリーグ第19節名古屋グランパス戦 前日のコメント
「今までも何度もあったことですが、出場停止やケガによって、これまで私たちはスタメンを代えてこなければなりませんでした。今週末もまた先週とは違うスタメンになるでしょう。ただし、私たちの目指しているスタイルは一切変わりません。明日誰がピッチに立とうと、これまでのスタイルを貫き、そしてできるかぎりいい結果を残せるように優れたプレーを見せたいと思っています。
前回の大分戦で見えたことですが、私たちの新しいやり方を選手たちが完全にマスターしているわけではありません。ここ数年間、まったく違うやり方でサッカーをしてきたからです。ですから、私たちは練習で何度も何度も土台となる基本的なことを学ばなくてはなりません。特に戦術的なことに関しては、今後、さまざまなことを要求しなくてはいけません。彼らがすべてのことを理解しているわけではないからです。今後も私たちのやり方、例えばボールオリエンテッドでチーム全体がスライドすることなどは練習で何度もやっていきますし、システムが 4-3-3であろうと4-4-2であろうと、今後も私たちのスタイルというものは一切変わっていかないと思います。練習でもしっかりとこのスタイルを実践していくのが大切だと思います。
通常ならば、このような形で新しいスタイルをはじめるとき、結果を出すためには時間がかかるものです。半年ですぐ結果を出せるようなものではありません。しかし、それにもかかわらず、私たちはしっかりとした形で勝利を収めて勝ち点を重ね、順位表でもとてもいい位置につけていると思います。もちろん、前回の大分での敗戦は非常に残念だったわけですが、それでも私たちは2位につけています。比較的早く結果を残せていると思います。
私は選手たちにはさまざまなことを、特にメンタル面では要求しています。そして、それらは彼らにとってはそう簡単なことではないかもしれません。なぜなら、今までやっていたサッカーとはまったく違う形のものに取り組んでいるからです。もちろん、今後も苦い経験をすることはあるでしょう。しかし、だからと言って、私たちが歩もうとしている道を進むことを止めてはいけません。大切なのは、自分たちのやり方を信じて貫くことだと思います。
そして、忘れてはならない現状というものがあると思います。一つは、一昔前のように海外から完成された非常に高い選手を買ってくることが今はできない、ということです。これは全員が理解しなくてはいけません。ブラジルだけではなく、ヨーロッパから選手を買うことも同じです。予算的なことを考えても、ヨーロッパのクラブから完成された選手を日本に引っ張ってくることはできません。彼らはアラブ諸国に行ってしまうからです。例えばピエール・リトバルスキー、ウーベ・バイン、ギド・ブッフバルトのような実績を残し経験溢れる非常に優れた選手たちが、キャリアの終盤に日本に来るということはあり得ない時代になっています。彼らは日本ではなく、カタールやUAEに行ってしまうわけです。
ですから、Jリーグは、そして特に私たちのクラブ・浦和レッズに関してもそうですが、今後は積極的に選手を育成しなければならないと思います。若手の選手たちを優れた選手たちへとどんどん成長させること。この新しい道を進まなくてはいけません。これは厳しい事実かもしれませんが、このことは言わなくてはいけないことだと思います。15年前のように、ドイツやフランスで代表選手として60試合、70試合出た選手たちが日本に来ることは、もうないでしょう。彼らは日本ではなくアラブに行ってしまう。これが、今の国際的なサッカー界の現実です。
比較的安いヨーロッパの若手選手もいますが、彼らをいつもこのようなことを言います。『なぜ自分が日本に行く必要があるのか?日本に行ってしまったら、ヨーロッパの関係者は自分を見てくれないだろう。自分の目標はヨーロッパの5つのブランド・ネーションでプレーすることで、日本行きは自分のためにならない』、と。ですから、私は今ここで選手の育成に積極的に力を入れているわけです。そしてそれは、10年以上前から実践されているサッカーの土台の部分に当たることで、それを今ここでやっているわけです。そして私はもちろん、この仕事が最終的にはいい結果を残すことになるだろうと信じていますし、ここでの仕事に喜びを感じています。
週末の試合に話を戻すと(笑)、坪井は非常に高い確率でメンバー入りするでしょう。あとは、彼がウォーミングアップをしっかりこなして試合までにケガをしないことを祈りたいと思います(笑)。そして、彼が出ることになれば、阿部とともにセンターバックとしてコンビを組んでプレーすることになるでしょう。山田直輝については、明日メンバー入りする可能性は高いと思います。しかし、スタメンか途中出場か、私はまだ決めていません。これから考えて決めたいと思います。
そして、今から2、3週間後、非常に優れた1人の『新加入選手』を私は得ることができるかもしれません。今から皆さんにお話しすることのできる新加入選手です。やはり、あのとき手術をさせてよかったと思います。あと2、3週間すれば、『梅崎 司』という選手が、私たちの新しい選手としてチームのためにプレーできるようになるかもしれません。
平川忠亮についても、徐々にコンディションはよくなってきていますし、もう数週間すれば、公式戦に出られるようになるのではないかと私は思っています。これはチームにとって非常に大切なことだと思います。チームのプレースタイルを変えたことによって、2人のサイドバックが必要になったわけですが、実際チームには多くのサイドバックがいるわけではありません。ですから、平川は大切なオプションの1人になる可能性があるわけです」
(以前、負傷した選手が戻って来た場合、2週間以内ならばすぐに試合に復帰できると監督は話していた。山田直輝の場合は2週間と少しかかっているが、復帰についての判断は?)
「明日の試合で起用できると判断しましたが、これは90分というわけではありません。90分、彼が試合に出るということはたぶんないと思います。私としては、後半で途中から出場させる、あるいは、先発で起用したとしてもフルではなく、ピッチ上での実際の彼のプレーを見て判断したいと思います。部分的に出るということは十分可能だと判断しています」
(名古屋グランパスの新加入選手ケネディ選手について。彼はドイツ・ブンデスリーガでも長くプレーしていた選手だが?)
「彼はドイツで4回、または5回移籍している選手です。どのクラブに行っても、移籍当初は必ずいいプレーを見せてゴールを挙げていましたが、比較的早い段階でベンチに座るようになり、また移籍するということを繰り返していた選手です。
もちろん、彼が空中戦に強いことは私もよく知っていますし、足元のプレーに関しても、そう悪くはないというのが正直な感想です。優れた選手だと思います。空中戦の強さは彼の1つの武器ですし、足が非常に長いですので、とても広い範囲でボールに触れることができます。そのような武器があったことで、試合に出てとてもいいプレーを見せていましたが、しかしその後はベンチに座って移籍ということを繰り返していました。ですから、彼の過去を考えると、彼が来たばかりの今という時期はとても危険だと思います。
そして、誰かが彼を担当しなくてはいけないわけで、今の私たちのチーム状況からすると、セットプレーで誰に彼をマークさせるかこれから考えなくていけません。そのことについては、ここではまだ語りたくはありません。ただし、大切なのは誰が彼を担当するかという役割分担をしっかりと決め、彼に対して厳しく当たっていくことです。役割分担と責任をしっかりとすること、これが大切です。大分戦ではヘディングから失点してしまいました。もちろん、ある選手がゴールした選手を担当していたわけですが、それでも選手たちはミスを犯すことがあります。人間ですから」
(グランパスはアウェイで対戦したときのチームと変わっているように思うが、監督が抱いた印象は?)
「彼らがあまりいい結果を残せておらず、順位表の下の方にいるということで、彼らが落胆していることは想像できますが、ダヴィとケネディが代わったこと以外は、それほどの変更はなかったと思います。昨日、彼らの前回の試合、1対1で終わった試合を見ましたが、あまり大きな戦術的な変更も見ることはできませんでした。もちろん、人材的には非常に優れた選手があのチームにはそろっていると思います。特に玉田は日本でもトップレベルの選手だと思っていますし、とても優れたFWの1人だと思っています。玉田を見る度に、私は田中達也のことを思い出して、達也がケガで長期離脱していることに対して、非常にがっかりしてしまいます。本当ならば、私もぜひ彼を試合で起用したいです。
これは、私からサポーターの方々に対してのはっきりとしたお願いでもありますが、私たちのチームにはたくさんのケガ人がいることを忘れないでください。特に、今まで主力として活躍していた選手が何度も何度も離脱しているということを。田中達也、そして今回の闘莉王、とても大切な選手が離脱しているわけです。それでも、私たちはできる限りポジティブな姿勢で試合に臨みたいです。皆さんと一緒にポジティブな姿勢で試合に臨み、いい結果を残せるような努力をしたいです。
そして、闘莉王や達也が長い間離脱した場合、同じような選手を違うところから買ってくることは、ほぼ不可能に近い状況です。このような状況だからこそ、試合に出るチャンスを得ることができた選手をできる限りサポートしたいと思っています。年上の選手だろうと年下の選手だろうと、私には一切関係ありません。すべての選手たちをできる限りサポートして、彼らが成長できるようにしたいです。そして実際、現時点ではチームに所属している全選手が、この新しいやり方にポジティブに取りくもうとしています。だからこそ、私は毎日毎日、さまざまな形で選手たちの成長を助けることをしているのです。泣いてはいけません(笑)」
(闘莉王の負傷した腹直筋は彼にとってもはじめての負傷箇所だが、復帰の目処は?)
「私はドクターではないので、あまり細かいことはお話しできませんが、以前、私のチームでプレーしていた選手で同じようなケガをした選手が数人いました。その数人の中でも、戻ってくるまでの期間は非常にバラつきがありました。何人かの選手は2、3週間で戻ってくることができた。しかし、何人かの選手は非常に長い期間がかかりました。ですので、今回のケガに関しても、彼が何週間後にチームに復帰できるかということはお話しできない状況です。とても個人差が大きいケガなのです。
闘莉王は、大分のスタジアムのピッチが非常に悪い状態だったと言っています。私も、彼が怒りを感じていることをよく理解できます。私は、ゲーム中、前半の7分、8分くらいだったと思いますが、彼が転倒した場面を見ました。その後、もう一度映像で確認しましたが、芝生がしっかりしていて、闘莉王が後ろから押されたときに踏ん張ることができていれば、ケガをしなかったと思います。今回のケガに関しては、あの悪い状況の芝が関わってしまって、悪い形で彼の体に負荷を与えてしまい、それによってケガをしてしまいました。ですので、彼がフラストレーションを感じているのはよく理解できますし、あの芝の状態にとても大きな怒りを感じていることも、私はとてもよく理解できます。
今の状況では、彼がしっかりと休みをとって、体を回復させて、徐々にさまざまなセラピーをやって体を治していく。これしかありません。もちろん、彼が早く戻ってくることを願っていますが、焦ってはいけません。しっかりと体を治して、またチーム練習に復帰してほしいです」
(野田紘史の期限付き移籍については、どのような判断をしたのか?)
「今回の期限付き移籍に関しては、最終的にはもちろん私が決断を下したわけですが、さまざまな細かい理由に関してはここでお話しすることはできません。それは、選手をリスペクトしなくてはいけないからです。
ただし、彼の置かれていた状況を考えると、チーム内で各ポジションにたくさんのライバルがいたため、ここで定期的に試合に出られるような状態になるのは難しかったと思います。彼の今までの親善試合や練習試合でのパフォーマンスなど、いろいろなことを考えて、最終的には別のチームでさらに実戦の場を与えた方がいいのではないかと思いました。そして、さまざまな話し合いをした結果、実戦の場、特に公式戦の機会を選手に与えるために、今回の期限付き移籍を承諾したわけです。なぜなら、そのような形で、試合に出ることによって、彼の成長をさらに助けすることができると思ったからです。
この業界では、移籍のときにはさまざまな理由があります。クラブが選手の給料を払えなくなってしまったり、選手が次のクラブへ行きたいと思ったり、クラブとしては残しておきたいのだが移籍金がほしいから今のうちに移籍させてしまおう、という場合もあります。
それ以外にも、とてもたくさんの理由があって、この業界にはさまざまな例が過去にありました。有名な例がダヴィだと思います。彼は札幌がから名古屋に移籍し、半年後にはカタールに移籍してしまいました。1度目の移籍は札幌が2部に落ちたということもあるでしょうし、2度目の移籍は本人にとっても、もしかしたらクラブにとっても、金銭的な魅力があったからかもしれません。4億円くらいのお金がプラスとして残ったということも聞きました。このように、移籍にはさまざまな理由があるわけです」
(これまでレッズが加入1年目の選手を期限付き移籍させる例はなかったと思うが、これもクラブの改革の1つと捉えていいのか?)
「そのことに関しては、今ここでお話しすることはできません。なぜなら、実際にこのクラブが何をどこまで改革したいのかというところが、私はまだ見えていないからです。なぜなら、改革の年ということで私を雇った人間がもうこのクラブにはいないからです。そして、その改革がどこまで進んでいるのかも、私はあまり情報を得ていない状態ですし、それ(野田の移籍)が改革の一部なのかどうかも、今ここでお話しすることはできません。
しかし、改革という話とは別に、1人の監督としてこのような決断は非常に大切なことだと思います。選手にとっても、チームにとっても。なぜなら、私たちのチームにはついこの間まで 31人の選手が所属していたからです。これだけの選手がいると、どうしても公式戦に出て実戦での経験を積むことができない選手が出てきてしまいます。彼らに対しては、『もしかしたら他のクラブで公式戦に出て経験を積んだ方が、君の成長のためになるんじゃないか』と監督として助言することも当たり前のことだと思いますし、仕事の一部だと思います。今回の移籍では、野田は18歳の選手ではありません。21歳、22歳の選手で公式戦に出られないのならば、他のチームに移籍して、そこで経験を積ませて戻ってこさせるというのも、十分正しいやり方だと思います。選手のためにもなりますし、チームのためにもなります。期限付き移籍をして経験を積んで帰ってきた選手というのは、市場での価値が上がることがあるからです。
原口元気にも、似たようなことが言えます。私が来る前までは、このクラブと提携関係にあるクラブの2軍に期限付き移籍をさせてさまざまな経験を積ませようという計画があったようです。しかし、私はその話を聞いて、すぐにストップと言いました。ここで、公式戦での経験を積むべきだと思ったからですし、私がまだ生で見ていない選手をドイツへ渡らせてしまうのはもったいないことだと思ったからです。自分の目で見て、それから判断させたいと思いました。そして、その提携関係にあるクラブの2軍で活躍できるほどのレベルにある選手であるならば、このチームにとって、とても価値のある仕事をしてくれる選手だと思いました。そして、結果論ですが、彼がここに残ったことを非常によかったと私は思っています。
なぜ私が今この例を皆さんにお話ししたかというと、監督の仕事の1つとして選手のキャリアプランニングの助けがあると思うからです。どの選手がどう成長していくのか、どのような形で刺激を与えればさらに成長できるのか。その一環として、場合によっては一定期間クラブを離れて、別のチームで経験を積んで、またここに帰ってくるのもいいのではないかと思います。選手の将来のことを考えて、さまざまな決断を下さないといけないと思います。
この国のサッカー協会が抱えている問題が1つあると思います。15~21歳の選手に、正しい形で成長を助ける刺激を与えることができないさまざまな規定やルールがたくさんあるように、私には思えてしまいます。私には、この国に来てはじめて知った規定というものがたくさんありました。通常ならば、優れた選手はいつでもステップアップして、上のチームで試合に出ることができなくてはなりません。たとえ、その選手が15 歳であろうと。あるいは、プロとなるための育成を受けながらも、最終的にはプロとなる実力や将来性がないと判断されたのであれば、すぐにその選手を外し、他の優れた選手を発掘してきて、プロのレールに乗せることができるようなフレキシブルな対応が必要だと思います。
しかし、それはこの国では非常に難しいようです。なぜなら、すべてがルールで決まっているからです。規律が求められる国ですから、フレキシブルに対応することが難しいのかもしれません。ただし、日本のサッカー界全体がレベルを上げていきたいのであれば、このようなことに関しても、積極的に議論をしていかなければいけないと思います。
そして、これは私が確信していることですが、今から10年後には、日本のサッカー界でC契約というものは存在していないでしょう。なぜなら、今の世界のサッカーの流れとまったく違うものだからです。世界の流れから見れば、C契約という制度は認められない存在です。例えば、アーセナルでプレーしているファブリガスは19歳で移籍していますが、C契約にサインしたわけではありませんでした。C契約はサッカー界の常識とはまったく違います。サッカー界とは、あと1 年、あと2年、あと3年とだんだん年が上がっていけば契約がよくなるというものではありません。サッカーには、まったく違う常識というものが存在しているわけです。もちろん、そのような形になるためには、時間がかかるかもしれません。さまざまな経験をして、そのような方向にこの国のサッカー界が発展していくのかもしれません」
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